太っ腹なのか、したたかなのか?カゴメ(2811) から粗品が来たときのお話

先週、映画「関ヶ原」を観てきました。

当日は公開初日ということもあり、かなりお客さん入ってました。

観ようと思っている方にネタバレになると申し訳無いので深くは触れませんが、かなりがっつりした歴史物映画で、見ごたえがあります。あんなにガッツリと関ヶ原の戦いが始まるまでの経緯が描写されているとは。

あと岡田くんの演技が上手いです!興味のある方はぜひ御覧ください。

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無料で商品をあげるのは損か得か

今回は、私が就活をしていた学生時代の話です。

当時、私はカゴメを受験しました。

あの野菜ジュースや加工食品で有名なメーカーのカゴメです。

特にそれほど強い動機があったわけではありませんでしたので、完全に「ノリ」で受験した記憶があり、それを見透かされたように、結果はエントリーシートであっさり落とされてしまいました。

しかし、その数日後、私宛に自宅へ宅配便が届けられました。

中身はなんとカゴメの商品の詰め合わせ!

野菜ジュースに加えて、レトルト食品的なものが入っていた気がします。(すみません、記憶が曖昧です。)

受験してくれた御礼としての粗品ということでしたが、最終面接まで行った学生ならいざ知らず、書類審査で落ちたような人にも粗品も送って来ることにかなり驚いたことを覚えています。だって、エントリーシートを出すのは誰でも出来ますから、応募者全員に配っていることになります。

このサプライズを機に、私はカゴメが大好きな企業になりました。

どのくらい好きかというと、コンビニやスーパーで野菜ジュースを買うときには例え少し割高でもカゴメを選ぶようになるくらいには!(^^)

さて、当時、

 「無料で商品の詰め合わせまで送ってくれるなんて、めっちゃ太っ腹で良い会社だなー!」

と感じてファンになった訳ですが、今になって思うと、カゴメはしたたかにマーケティングとして行っていたのでしょう。

今回は、この粗品送付活動によって、カゴメが負担するコストと、期待できるリターン、それぞれを推定値で算出してみました。

粗品によるカゴメの負担額は?

送られて来た粗品が何だったかをはっきりは覚えていませんが、大体500円分くらいの商品だったのだと思います。

小売店での販売価格には、販売店や問屋の取り分(マージン)が含まれています。

調べたら、スーパーなどでの販売においては、そのマージンはだいたい販売価格の55%くらいのようです。ですので、製造業者であるカゴメには、販売価格の45%が入ると推測されます。

カゴメの取り分である45%には、原材料費といった売上原価や、広告費や間接費のような販管費も含まれます。

カゴメの最新の決算短信を見てみると、飲料や食品の営業利益率は5%程度となっていますから、カゴメの取り分である45%のうちの、95%がコスト、5%が利益と考えられます。

以上より、1商品の小売販売価格の構造は以下の通りと推測。

 販売店・問屋のマージン: 55 %

 製造者(カゴメ)の売上: 45 %(内訳: 利益 2.25%、コスト 42.75 %)

よって、今回の粗品が500円相当の商品だったとすると、カゴメの負担するコストは、

 500 ✕ 0.4275 +  (受験生自宅までの配送料) = 213.75 + (配送料)

となります。配送料が400円と仮定して、

 カゴメの負担額:613.75 円

となります。

では、この負担額を出してもそれを上回るリターンがカゴメに対して存在するのでしょうか?

粗品によるリターンは?

この粗品によって、カゴメ商品好きになった私のような学生は他にもいるはずです。

ここでは、カゴメの商品好きになった私のような人間が以下のようだと仮定します。

【仮定】

 カゴメの商品を平均月に2回購入する。

 1回あたりの購入金額は、150円である。

 22歳から80歳で死ぬまでこれを続けるとする。

このように仮定すると、これによるカゴメへの利益は以下の通りと計算できます。

 2(回) ✕ 150(円) ✕ 2.25(%) ✕ 12 (ヶ月) ✕ 58 (年) = 4,698 (円)

式の中の 2.25 % は、カゴメの小売販売価格に対する利益率です。

当然、粗品を送った学生のうち全員がファンになるとは限りませんから、学生のうち、20 %がファンになったとしても、

 4,698 ✕ 20 (%) = 939.6 (円)

の利益と計算できます。

このように考えると、

 (粗品による期待利益:939.6円)>(粗品によるコスト:613.75 円) 

となり、マーケティング的には悪くない施策といえそうです。

まとめ

もちろん、今回の計算はかなり荒いです。

仮定としている数字が間違っている可能性もありますし、粗品を送る作業にかかる人件費といったコストは勘案されていませんし、ファンになった学生の口コミ効果も数字化することが困難なため、損得勘定が難しいところではあります。

ただ、ビジネスをする上では、

 「単純にタダで商品を送るなんて損するに決まってる!だから辞めた方がいい!」

と単純に考えずに、数字化し、実際のコストとリターンを比較してから判断する必要があるでしょう。それによって、他の企業が真似しないマーケティング活動や商品作りが可能になるのでしょうから。

ちなみに、上記の「粗品送付作戦」はカゴメのような大企業だからこそできると言えそう。

短期的にはコストが間違いなく積み上がりますから、仮に100%長期的には得すると分かっていたとしても、小さい企業ではキャッシュフロー的に回らなくなってしまう可能性がありますから。