大注目!スタートトゥデイが発表したZOZOSUITについて考察した

木曜日が祝日だったので、金曜日だけ会社に行くのがだるかったですねー。金曜日は有給取って休んでしまえばよかった。

こちらのニュースは皆さんご存知でしょうか?

「圧倒的な速度で世界中に配りまくり、体重計や体温計のように一家に一台の存在にする。世界中のお客様の体型を最も知り尽くした企業となり、データを元にひとりひとりにピッタリの服を提供する」スタートトゥデイ…

ZOZOTOWNの運営で有名なスタートトゥデイが、ZOZOSUITなるものを出すということでかなり話題になっています。

このZOZOSUITは送料こそかかるものの、これ自体は無料での配布となっています。

ZOZOSUITを着ることで、着用者の体の採寸をスマホに送って収集してくれるとのこと。(どのくらいの精度、箇所を採寸してくれるのかは不明)

この採寸情報をZOZOTOWNに送信することで、ZOZOTOWNでの商品のオススメをしてくれるそうです。

今回のZOZOSUITがどの程度の精度と完成度をもった採寸をしてくれるのかはまだわかりませんが、その完成度によっては、ファッション販売業界に対するインパクトは非常に大きいものになりえると感じます。

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ユーザーのメリット

雑貨や文房具、本をネット通販で抵抗なく買う人でも、洋服をネット通販で買うことに対しては抵抗を感じる人はまだまだ多いです。実際、私もAmazonのヘビーユーザーではありますが、洋服をネットで買った経験は少ないです(返品送料無料のときに数回経験ある程度)。

その理由は、

「買った服のサイズが自分に合うのかどうか分からない。」

というところが大きいです。

逆に言うと、この不安がなくなれば、洋服も文房具や本と同様にネット上で気軽に大量の商品群を比較して購入することへのハードルが劇的に低くなるはず。

ZOZOTOWNを数回使ったことがありますが、個人的にすごく良いと思ったのは、商品紹介ページにモデルの身長や体型が書いてある点です。

これも

「購入したあと、サイズが自分に合わなかったらどうしよう。。。」

という不安を解消するのにかなり役立っていると思われます。個人的意見ですが、これまでのZOZOTOWNの成長にこれはかなり貢献しているのではないかと思います。これがあるとないとで大分違う。

それでも、自分の体型サイズを正確に把握している人は少ないと思いますし、採寸の仕方によって数字は多少異なってくると思いますので、まだ不安が残る人は多いハズ。

今回のZOZOSUITによって、採寸の環境は統一され、この不安が一気に解消され、洋服購入に対する不便さが解消される可能性があります。

スタートトゥデイのメリット

スタートトゥデイ側のメリットも大いにあります。

商品購入への心理的ハードルの低下による売上増加

一番分かりやすいのはこれでしょう。

ユーザーが洋服購入への心理的ハードルを下げれば、商品が売れてZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの利益に繋がります。

洋服は、「衣食住」の一つであり、生活する上で欠かすことのできない商品であり、支出に占める割合も比較的大きくなりがちです。そのため市場規模は十分にある一方で、試着ができないため、なかなかEC化が進めにくい市場でもあります。

その市場において、今回のイノベーションがユーザーの囲い込みを一気に進める可能性がありそうです。

返品率の低下

ネット通販事業者において、返品率は重要な指標になりえます。特に、洋服のネット通販においては返品率が他の商品に比べると多くなりがちです。

ZOZOTOWNは返品に対する送料は購入者の負担となっているようですが、それでもオペレーションコストはゼロではありませんから、返品作業が発生すればするほどコスト増に繋がります。

「サイズが合わずに返品」というのは、ZOZOTOWNにとっても購入者にとっても良いことは一つもありません。LOSE-LOSEの関係といえます。

サイズを互いに把握し、最適な洋服を最初から購入することができれば、コスト減にもなりますし、ユーザーからの評価も高まります。

商品の在庫コントロールが可能に

現在のZOZOTOWNは売上のほとんどを洋服メーカーからの「委託販売」の形式をとっています。

委託販売においては、ZOZOTOWNはメーカーから商品を預かり、販売し、売れ残った分はメーカーに返品することができます。

よって、ZOZOTOWNは在庫リスクをほとんど負っていないということになるわけですが、通常は在庫リスクを追わない分、販売によって得られる手数料収益は在庫リスクを負っている「買取販売」に比べると低くなりがちです。

洋服は、一つのデザインに対して、S/M/Lといった複数のサイズを用意するのが一般的ですから、どのサイズをどのくらいの数用意するべきかは在庫リスクを大きく左右します。

ZOZOSUITによって、「ユーザーのサイズ」というビッグデータをスタートトゥデイが握ることで、このサイズ違いによる在庫リスクを最適化することが可能、かもしれません。

ここで、「かも」、と言っているのは、ユーザーのサイズを把握するとしても、日本人の体型が数年で大幅に変わっているとは思えません。ですから、メーカーはどのサイズをどの程度用意すれば在庫がどの程度発生するのかを、過去の経験から熟知していると思われます。ですから、わざわざZOZOSUITによって詳細な採寸を行うまでもなく、在庫リスクの最適化は行われているとも考えられるからです。

仮に、スタートトゥデイがメーカー以上に在庫リスクを最小化することに成功するのであれば、委託販売の形式から、買取販売に切り替えることで、販売手数料率を引き上げることができ、スタートトゥデイの売上利益率の向上に繋がる可能性があります。

また、近日発表することになっている、ZOZOTOWNのプライベートブランド(ZOZO)においては、ユーザーの体型情報のビッグデータが役に立つ可能性があります。

なぜなら、ユーザーの体型情報を把握することで、現代の日本人の体型ありきで洋服の設計を行うことができ、在庫リスクの最適化が可能になると思われるからです。

ZOZOSUIT配布によるコストとリターン

ZOZOSUITは送料は利用は負担ですが、それ以外は無料で配布される予定です。ですので、ZOZOSUIT自体の製造コストはスタートトゥデイが負担することになるので、それによる影響を試算してみます。

ZOZOSUITによるコスト試算

ZOZOSUITがどのような技術で採寸をして、それをスマホに送信するのかの詳細はまだわかりませんが、仮にスマホへの送信にBluetoothを利用するのだとすると、その電子機器等のコストを考えると一着製造するのに、1,000 – 2,000円程度は掛かるのではないかと思われます。

採寸するためのセンサーのコストについてはもっとよくわかりませんので、かなり粗い見積もりにはなってしまいますが。

「2018年3月期第2四半期 決算説明会資料」より引用

上図が示すとおり、現在のZOZOTOWNのアクティブ会員数はざっと460万人。

そのうちの7割がZOZOSUITを注文したとすると、322万着。

今回のZOZOSUITのニュースはかなり話題になりましたから、アクティブ会員以外に100万人が注文するとしたら、合計422万着のZOZOSUIT製造コストをスタートトゥデイは負担することになります。

製造原価コストを少なめに1,000円とすると、合計は、、、

422万 ✕ 1,000 = 42.2億円!

2018年の通期での営業利益予想は、320億円ですから、利益が吹き飛ぶほどのコストではありませんがそこそこのコストインパクトになります。

また、これはあくまで製造原価のコストだけなので、オペレーションコストも含めるともっと多くのコスト増につながるはずです。

ZOZOSUITによるリターン試算

ZOZOTOWNは委託販売を行っており、委託手数料はおおよそ30%程度に設定されています。

よって、ZOZOSUITの配布によって、ZOZOTOWNの商品が一人当たりおよそ4,000円余計に売れるようになれば、スタートトゥデイはZOZOSUITのコストを乗り越えて、利益を生むことができることになるわけですね。

しかも、これは委託販売商品のケースなので、今後展開するスタートトゥデイのプライベートブランドの売上につながれば、利益率は高いはずなので、より少ない売上で多くの利益に繋げることができます。

特に、ZOZOTOWNの商品単価は高めなので、商品購買に繋げることができれば、比較的コスト負担以上の利益を生み出すことはできそうな気がします。

最後に

洋服のネット通販のハードルを取り払うために、試着を如何に手軽に、IT技術を使ってバーチャルに行うか、という試みはこれまでかなり行われてきました。

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よくあるのが、AR的な感じで自分の写真の上に服を重ねることで、サイズ感を見ることができる、とかいったことでしたが、今回のZOZOSUITはそこから一つか二つほどステップが上がった感じがします。まさか体を採寸するスーツをばらまくとは。。。

ZOZOSUITの無料配布によるコスト増が経営にのしかかることは間違いありません。希望者全員に配布する、というのはコストが青天井になり得るので、中小企業ではやはりできませんよね。ですから、スタートトゥデイのような健全な財務体質をもった企業だからこそできる施策といえます。

今回の施策が上手く回らず、売上に繋がらなかった場合には当然利益圧縮となりますが、「つけ払い」に続いてかなりのアグレッシブな試みで、スタートアップ企業で働く私としては非常に気になる存在です。