昨日はエス・エム・エス株の決算発表を受けての記事を更新しましたが、今日はアステラス製薬の2017年3月期決算発表を読んでみましたので、その記事を書いていきたいと思います。
業績内容のチェックとともに今後の投資判断についても記述していきます。
残念ながら、内容自体は正直今一つといった印象です。
今期決算内容は予想通り微増益

アステラス製薬 2016年度業績決算発表資料より引用
今回発表された業績内容は上記のとおりです。
減収増益となっています。しかし、これは前年度に予想されていたものであり、予想された数字は達成されています。その意味ではサプライズはあまりないかなといった内容です。
アステラス製薬は円高がマイナス要因になる構造になっているのですが、前期時点で大きく円高になることを想定した予想計画を出していました。
結果的に、この予想は当たり、結果としても予想とほぼぴったりということになったわけです。

アステラス製薬 2016年度業績決算発表資料より引用
さて、上図を見るとわかりますが、マイナス要因として、薬価改定と為替の影響が大きく、売上の増加を食いつぶす結果となっています。
やはり円高インパクトは大きいですね。
本業の売上自体は悪くないので、薬価改定や為替でそれが消し飛ぶのは切ないです。。。(-_-;)
主力製品の伸びは今期横ばい・来期まずまず

アステラス製薬 2016年度業績決算発表資料より引用
アステラス製薬の主力製品である「イクスタンジ」については販売数量は好調とのこと。
しかし、日本においては薬価改定の対象となっており、薬価が引き下げられそれによって売上および利益を圧迫しています。
一方、売上割合で最大である米州においては、ほぼ横ばいとなっています。
EMEA(ヨーロッパ・アフリカ・中東)においては好調な伸びが見えており、来期も好調な予定となっています。
今期以降からは日本では薬価引き下げを見込んでいるわけですし、販売数量が伸びることによって、来期は増収を予想となっております。
この点はよさそうですね。
イクスタンジ以外の主力商品についても、売上が順調に増加する見込みです。
一方で、特許切れ薬品が来期には出るなどのマイナス要因も見込まれているとのこと。
来期予想はいまひとつ?

アステラス製薬 2016年度業績決算発表資料より引用
さて、来期予想ですが、こちらは減収減益となっています。
私が気になったのは、今までは為替レートが悪いから、とかの理由でよくない決算内容も説明ができたかもしれませんが、今回は為替レートはむしろ円安方向、つまり有利な方向の予想をしているにもかかわらず、減収減益を予想している点です。

アステラス製薬 2016年度業績決算発表資料より引用
もちろん、今期に売却した皮膚科事業による減収減益要因が大きいのは上図を見るとわかるのですが、そもそもの本業売上がそれほど成長しないという予測がちょっとがっかり感があります。
先ほど述べたように、薬の特許切れによる影響とかもあるとのこと。
決算発表を受けて市場は売り反応

今回の決算発表を受けて、アステラス製薬株は大幅な下げを示しました。
今期の業績は繰り返しになりますが予想通りですし、むしろ純利益については予想より上振れているので悪い内容ではなかったと思います。
しかし、来期の計画についてはちょっと良くなかったですね。
以前からブログ内でもアステラス製薬株のリスクとして以下の3つを挙げていました。
・円高が今後進むリスク。
・直近の下値である1,400円を下回ると下落が長引く可能性。
・日本の薬価改定リスク。
これらのリスクのうち円高と薬価改定が今回は影響として大きく出てしまったように考えられます。
また、テクニカル的にはここしばらくアステラス製薬株はボックスで上下していたので、そこを下抜けするとよくない兆候で、下落が長引く可能性が高いです。
今後の投資アクション
エス・エム・エス株のような高成長銘柄と異なり、アステラス製薬株は安定配当と安定業績を目的に保有している銘柄です。
ネガティブな内容も書きましたが、増配発表や自社株消却といった積極的な株主還元策も出してくれていますし、悪いことばかりではないかなーと思っています。
肝心の今後の投資アクションですが、アステラス製薬については中長期で考えているので、「ホールド」です。
とはいえ、しばらくはちょっとくらい下げてもナンピン買いは控えます。下手すると結構掘りそうな気がしているので(;^_^A
余談
最近は中小型株の分析をしていることが多かったのですが、アステラス製薬はIR情報は充実していますし、何よりも決算発表会の音声をネット上に公開しているのはとてもいいですね!
製薬業界は私も専門ではありませんし、正直企業分析が結構難しいと感じています。
決算発表会では証券会社のプロ(おそらく製薬業界担当のプロ)が質疑をするので、その内容は非常に参考になります。
他の上場企業もこういった決算発表音声をどんどん公開していただけると、見られる情報がどうしても少なくなりがちな個人投資家にはとてもうれしいですね!