ジュニアNISAをご存知でしょうか?
ざっくりいうと子供版NISAな訳ですが、通常のNISAやつみたてNISAとは違った特徴があり、なかなか正しく理解できている人は少ないかと思います。
今回は、ジュニアNISAの制度や特徴、使うべき人について解説したいと思います。
目次
ジュニアNISAは子供のための資産運用に適したNISA

金融庁HPより引用
そもそもNISAとはなんのか?
通常は株式や投資信託の売買によって生じた利益や保有していてもらえる配当金には、約20%の税金が発生します。
しかし、NISA口座では毎年定まった一定額の枠内で購入した株式や投資信託によって生じた売買益や配当金には税金が発生しません。
例えば、50万円分の株式をNISA口座で購入したあと、株が値上がりし、評価額80万円まで上昇した場合、株式を売却すると発生する30万円の利益に対して、NISA口座では税金がかかりません。(NISA口座でない場合は、30万円の20%である6万円程度が税金として持って行かれます。)
これがざっくりとしたNISAの制度です。
NISAには、「NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類が存在しますが、全てにこの制度は共通しています。
これらのNISAの違いを表にまとめた以下の表がわかりやすいです。
ジュニアNISA | NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|---|
年齢 | 0~19歳 | 20歳以上 | 20歳以上 |
年間の 投資上限金額 |
80万円 | 120万円 | 40万円 |
投資期間 | 2023年まで | 2023年まで | 2037年 |
対象商品 | 株式、投資信託 | 株式、投資信託 | 特定の投資信託 |
非課税期間 | 投資した年から 最長5年間 |
投資した年から 最長5年間 |
投資した年から 最長20年間 |
運用管理 | 原則親権者が代行運用し、 18歳までの払い出しが制限 |
払い出しに制約なし | 払い出しに制約なし |
ジュニアNISAならではの大きな特徴は、
- 未成年の名義でも利用が可能である
- 18歳になるまで原則払い出しができない
この二つでしょう。
18歳まで払い出しができないということから、子供の名義で大学の学費を貯めるために、ジュニアNISAを利用することが想定されていると考えられます。
普通に子供名義の証券口座を開設して、そこで将来の子供のための資金を運用することもできますが、ジュニアNISAで運用してやった方が運用益が非課税になる分有利といえます。
また、将来の子供のための資金確保の方法として学資保険も代表的なものですが、学資保険は非常にディフェンシブな金融商品で、確実に貯蓄ができる反面、それによって資金を増やすことはほぼ不可能です。
ですから、多少リスクをとっても、子供の将来のために資産運用をしたい人であれば、株式や投資信託を自由に組み合わせられるジュニアNISAの方が向いているといえます。
子供が20歳になる前に非課税期間の5年が経過したらどうなるのか?
非課税期間が5年と書きましたが、5年経過したらどうなるのでしょうか?
通常、ジュニアNISAの枠で株や投資信託を購入した場合、5年間後に、その時点での新しいジュニアNISAの運用枠に繰り越されます(ロールオーバー)。
例えば、2016年(平成28年)にジュニアNISA枠で資産運用を行なった場合、5年後の2021年(平成33年)に名義人である子供が20歳にまだなっていないのあれば、新しいジュニアNISA資産運用枠を使って繰越すことが可能です。
しかし、実は、ジュニアNISAは2023年(平成35年)に制度が終了する予定です。
その場合どうなるのでしょうか?
2023年の制度終了以降も20歳まで非課税で運用可能
ジュニアNISAは2023年(平成35年)に制度が終了予定です。
つまり、2019年(平成31年)現在からすぐにジュニアNISAを始めたとしても、5年後の2024年には子供が20歳になっていなくても、新しいジュニアNISAの運用枠は存在せず、移し替え先がなくなってしまいます。
その場合、ジュニアNISAでは移し替え先として、「継続管理勘定」へと移し替えを行うことが可能です。

金融庁HPより引用
継続管理勘定に移し換えると、非課税のまま子供が20歳になるまで継続保有することができます。
つまり、0歳からジュニアNISAで運用を始めた場合、継続管理勘定に移し換えることで、20歳になるまで、20年間非課税のまま資産運用ができるわけで、これがジュニアNISA最大のメリットです。
ちなみに、この継続管理勘定に移し換えることができる金額に上限はありません。
例えば、2019年に80万円をジュニアNISA口座で投資して、5年後の2024年時点に150万円まで評価額が増えていた場合でも、150万円丸ごとが継続管理勘定に移し替えてその後も子供が20歳になるまで非課税で運用することができることになります。
2017年までは、継続管理勘定への移し替えには80万円という上限が設定されていましたが、制度の改定によって上限が撤廃されました。
ジュニアNISAのデメリット
18歳になるまでジュニアNISA口座から引き出せない

金融庁HPより引用
ジュニアNISAは将来の子供のための資産作りが目的となっていますから、18歳になるまでジュニアNISA口座から引き出すことができません。
ですから、日常的に必要になるような子供の生活費や養育費を貯蓄したり、中学校や高校の学費のための貯蓄には向いていません。
元本を大きく割れる可能性がある
ジュニアNISAは株式や投資信託を使って資産運用をすることになるため、銀行の定期預金のように元本を保証されていません。つまり、資金が運用損によって目減りしてしまう可能性があるということです。
ですから、子供が18歳を超えて、いざ資金が必要になり現金化する際に金融市場の相場が下がっていると、大きく元本を割れてしまう可能性があります。
同じく子供の将来資金の貯蓄を目的とした学資保険の場合は、大きく運用損が出ることはほぼありませんから、そちらに比べるとリスクが大きいのがジュニアNISAと言えます。
その分、運用益を膨らんで資金が増える可能性もあるわけですが。
ジュニアNISAはどんな人におすすめ?
ジュニアNISAの制度の特徴を説明してきました。
ジュニアNISAを使うのに適した人とはどんな人でしょうか?
私は次のような人が向いていると考えています。
- 幼い子供を持つ親
- 自分でポートフォリオを組んで資産運用をやる自信がある人
- 元本割れのリスクを取ることに抵抗がない人
- 子供の生活費や教育費を別途用意するだけの金銭的な余裕がある親
幼い子供を持つ親
ジュニアNISAの制度が終了する2023年以降は、ジュニアNISA口座の資金は継続管理勘定に移し替えられることは前述の通りです。
継続管理勘定に移し替えられた後も、子供が20歳になるまで非課税で運用が可能ですから、子供がまだ幼く、20歳まで時間があればあるほど、非課税の恩恵を長く受けることが可能ですからおすすめです。
自分でポートフォリオを組んで資産運用をやる自信がある人
ジュニアNISAは学資保険などと違って、株式や投資信託を自分で組み合わせてポートフォリオを作成し、資産運用する必要があります。
ですから、完全お任せで資産運用したい人には不向きと言えます。
ですから、ジュニアNISAは自分でリスクとリターンのバランスが取れるようなポートフォリオを作れる人が向いています。
元本割れのリスクを取ることに抵抗がない人
ジュニアNISAは株式や投資信託といったリスク資産を使って運用しますので、リターンを狙える反面、元本割れのリスクが常に付きまといます。
ですから、元本割れは絶対したくない、とか、元本割れに対してアレルギーがある人には向いていません。
そういった方は、銀行定期預金の積立や元本割れリスクの極めて少ない学資保険を利用することをおすすめします。
子供の生活費や教育費を別途用意する金銭的な余裕がある親
ジュニアNISAは一度資金を入れたら子供が18歳になるまで引き出しができません。
これは他のNISAにはない制限です。
ですから、ジュニアNISAに入れるお金とは別に、子供の小学校や中学校や高校学費や普段の生活費は用意してやる必要がありますから、ジュニアNISAにはあくまで余裕資産を入れてやるのが正しい使い方であると言えます。
特に、NISAを使った資産運用は元本割れのリスクがありますから、もし資産運用に失敗して資金が大幅に減ってしまい、子供を大学に入れさせられなくなったりしたらあまりにも悲惨です…
ある程度お金に余裕を持てるような親がジュニアNISAを活用するのに向いています。
まとめ
ジュニアNISAの特徴と使うのに向いている人をご紹介しました。
税金は資産運用をする上で大きな足かせになりますから、運用益を非課税にできる各種NISAは投資家にとって大きなアドバンテージになり得ます。
正しい知識を身につけて使い倒しましょう!